生まれて旅立つ命。
大学生の時に、学生寮に住んでた。
そこにのら猫がいてて、お腹が大きくて妊娠してんねんな〜〜って思ってた。
秋田県の冬、寒い日やった。
学生の誰かが段ボールを置いてあげてたところに、
その猫が赤ちゃんを産んでた。
あ!産まれたんや!って喜んだのも束の間、
5匹産まれた子猫の赤ちゃん達は、みんな動かなくなってた。
え???みんな産まれたところやのに、もう死んじゃうの…??
信じられなかった…。
1匹ずつ、名前をつけた。
みぃ、ちぃ、あい、とら、けけ。
出来ることが思い浮かばなくて、とにかくとにかく、名前を呼んで、言葉をかけた。
生まれてきてくれて、ほんとうにありがとう。
何回も名前で呼んで、うちと出会ってくれてありがとうって伝えながら、大きな木の根元に埋めた。
産まれてきて死ぬ命。
お母さんに会ったとたんに空に還る、旅立つ命。
お母さんって存在のことも考えてた。
お母さんは強いんだ。
ひとりの子を抱く母。命を産む母、強いんだ。
うちにはきっと、もっと出来ることがあったんだろうな。
思ったとたんに動いて行動できる身体。
あぁ、心と身体をしっかりつないでおきたい。
そう想った。
生まれて旅立つ命のために。
うちも生かされてる。
うち以外のすべての命に生かされてる。
さみしさを含んだ、あたたかさ。
人の言霊が、うちの身体の中に生きてて、エネルギーが走る。
人がいるから、うちは生きてる。
みんながいるから、みんな生きてる。
とことんの、ありがとう。
ひとりじゃないよ。
いつも魂はみんなひとつ。
だから比べることも、自分じゃない何かになろうともしなくていい。
ただただただただ、そのま〜〜〜〜んまでいい。
それが、いちばんいい。
だから、いい。
それだけで愛される存在。
それだけで人を愛せる存在。
大きくて小さくて、深くてあったかい、強くて脆い。